コラム

Column

食事と不妊に関連性はあるの? ~妊活中に何を食べるべきか 男性編~【佐藤健二医師執筆】

妊娠しやすくするために何を食べればよいのか? 我々もよく患者さんから聞かれる質問です。そこで今回は2018年にAmerican Journal of Obstetrics & Gynecology、Fertility and Sterilityという権威ある雑誌に掲載された2論文からの情報をご紹介します。

Gaskins AJ, Chavarro JE. Diet and fertility: a review. Am J Obstet Gynecol.
2018;218:379-389.
Nassan FL, Chavarro JE, Tanrikut C. Diet and men’s fertility: does diet affect sperm quality? Fertil Steril. 2018;110:570-577.

摂取がすすめられるもの

抗酸化剤(ビタミンC、Eなど)
オメガ3脂肪酸(EPA、DHA)
健康な食事(地中海式食事法など)

効果があまり期待できないもの(効果が不確定)

ビタミンD
乳製品
大豆製品(豆腐など)
カフェイン
アルコール

摂取がすすめられないもの

トランス脂肪酸(マーガリン、フライドポテト、ケーキ、スナック菓子など)
不健康な食事(デザートやスイーツなど甘いもののとりすぎ、肉類(牛肉、豚肉)ばかりの偏った食事など)

摂取がすすめられるものの解説

1.抗酸化剤

体内で発生した活性酸素によって細胞が攻撃される『酸化』。この現象で生体機能が低下し、老化をはじめとするさまざまな病気を引き起こすことがわかっています。

精子は成熟する過程で大部分の細胞質を失うため、精子自体は酸化によるダメージを受けやすいのです。外部からの酸化ストレスだけではなく、精子内でも酸化物質が産生されています。

精液は液体成分である精漿と細胞成分である精子とで構成されていますが、精漿中にある抗酸化物質(主にビタミンC)が精子を酸化によるダメージから守ってくれています。抗酸化剤を摂取することにより、精液の質(とくに精子運動率)が改善され、妊娠率が向上したと報告されております。

2.脂肪酸

私たちの体をつくる細胞には細胞膜という膜が存在していますが、その膜には脂肪酸が含まれています。精子においては、精子表面の細胞膜における脂肪酸の構成内容が受精能力など精子機能に大きく影響を与えることが分かっており、成熟精子では未熟精子に比べ、5倍多くドコサヘキサエン酸(DHA)が含まれています。

エイコサペンタエン酸(EPA)やDHAは体内でほとんど作りだすことができないため、食事などから摂取する必要があります。

EPAやDHA摂取により、精子細胞膜のEPA、DHAが増加し、精液の質(精子運動率、精子数、正常形態精子)が向上したとの多くの報告がなされています。逆にトランス脂肪酸の摂取により、精子数の減少など、精液の質の低下につながると報告されています。

sperm